死んだらどうなる?岸本英夫教授の場合(2)
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岸本英夫教授の本を通して「死んだらどうなる?」という問題について
書いています。
岸本英夫、この人はもと東京大学の教授でしかも宗教学を専門とした興味ある学者でした。
彼は彼自身の臨終の最後まで、死という問題を直視し続け、現実の死という問題に真向うから取り組んだ勇気ある人物でした。
癌の中でも最も恐ろしいといわれる悪性黒色腫という皮膚癌があります。
その転移性の早いことでは致命的な癌です。
岸本教授はかなり以前からしこっていた彼の左アゴの異様な固りを切開したのですが
そこにあの黒色腫の悪性な癌細胞が検出されたのです。
あと半年しか命の保証ができないと診断された岸本教授のショックは、それは大変な
ものでした。
岸本教授はこう書いています。
「私の内心は、絶えず血みどろの闘いだった。
昼はまだ良い。
夜が問題だった、夜、一人自分の部屋に入ると、激しい緊迫感が襲ってくる。
癌の宣告を受けた私は、もはや絶望という意識で心が一杯になってしまった。
そしてその時、私は生れて初めて、生きていたいという生命欲が猛然と頭を
もたげてきたことを知った。
腹の底からわき起る凄じい生命欲は、死にたくないという強烈な欲求と、
死に対する物凄い恐怖となって現われてきた。
生命が直接の危機に陥ると、心はどれ程たぎり立ち、猛り狂うものであるか、
そして全身が手足の細胞の末々に至るまで必死で死に抵抗するものであるか、
私は身をもって知らされた。」